鈴木雅明氏のバッハ・メダル受賞のお祝い
バッハの優れた演奏家に与えられる「バッハ・メダル」をこのたび日本人として初めて鈴木雅明氏が受賞されたことを、私たちもまた心から喜びお祝いしたいと思います。
It is our joy to congratulate Mr. Masaaki Suzuki who was lately awarded as the first Japanese recipient of the "Bach Medal," an award given to a brilliant musician of J.S. Bach.
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の代表である鈴木氏は、震災直後から「BCJ東日本大震災義援金プログラム」を企画され、チャリティー・コンサートやチャリティCD <Bach for Japan>などを通して集められた義捐金を私ども「東北ヘルプ」の活動のために何度も捧げてくださいました。
Mr. Suzuki, the director of Bach Collegium Japan (BCJ), has launced the 'BCJ Great East Japan Earthquake Relief Program’ soon after the disaster and donated the contributions, collected through their charity concerts and sale of a charity CD ‘Bach for Japan,’ several times for the relief activities of "Touhoku HELP."
“祈りの音楽”と言われるバッハの精神を、演奏を通してのみならず実践を通しても示された氏の受賞は、真にふさわしくまた喜ばしいことです。
This prize is truly suitable and well-deserved, we believe, to such a person like him who has displayed the spirit of Bach's music, known as the 'Music of Prayer’, not only through his exellent performances but also his action of charity.
「東北ヘルプ」代表・吉田隆
Touhoku HELP Takashi Yoshida
(sorry, Japanese Only)
指揮者・鈴木雅明さんにバッハ・メダル 独ライプチヒ市
鈴木雅明さん
ドイツ東部ライプチヒ市は16日、ドイツの大作曲家バッハのすぐれた演奏家をたたえる今年の「バッハ・メダル」を日本の指揮者、鈴木雅明さん(57)に授与することを決めた。ライプチヒはバッハが後半生を過ごして数々の傑作を生んだ町で、バッハ・メダルはこれまでも傑出した音楽家に贈られてきた。日本人への授与は初めて。
鈴木さんは朝日新聞に電話で「バッハの音楽の持つ国境を超えたメッセージを日本人である僕が伝えることに意味があると思ってやってきた。そのことが評価されてたいへんうれしい」と話した。
鈴木さんはオルガン、チェンバロ奏者として活動するほか、1990年に創設した古楽団体「バッハ・コレギウム・ジャパン」を率いて世界中でバッハの音楽を演奏し、高い評価を得てきた。(ベルリン=松井健)
(引用元 朝日新聞デジタル様、産経新聞様)
http://www.asahi.com/culture/update/0418/TKY201204180003.html
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120417/erp12041723000004-n1.htm
一年を振り返りつつ(東北ヘルプ・インタビュー)
少し前、東北ヘルプ事務局長として、一つのインタビューを受けました。
インタビューとは、「inter - view」です。つまり、「間に入って見る」ということです。ですから、インタビュアーは、「間に入って見て頂く人」ということになります。
今回取材をしてくださったインタビュアーは、宗教学とユング心理学の研究者である高橋原先生でした。
この取材のとき、初めて被災地を訪れたとのことでした。深く、真剣に、被災地を見つめてくださいました。そして、それは高橋先生の思いが込められた記事となり、『国際宗教研究所ニュースレター』73号(2012.1.25発刊)の14-19頁に、掲載されました。
「間に入って見て頂く」ことは、新しい創造の時を生み出します。私たちは、自分の見ているようにしか、世界を見ることができません。自分の語ったことも、自分の記憶したいようにしか、記憶していない。それを、インタビュアーが、別の切り口・角度から見・記憶してくださる。それは、私たちの世界を新しく広げることになると思います。それは、古い過去を新しく甦らせる作業、なのかもしれません。
そんな思いを抱きつつ、感謝して、インタビュー記事をここに御紹介します。引用を許可してくださった関係者に感謝しつつ、また、新しい観点から再び改めて、多くのお支えを頂いていることを感謝しつつ、ここにご紹介する次第です。
(この画像はスクロールして、全文をご覧いただくことができます。
iphoneなどをご使用されていて、この画像を見ることができない方はこちらからご覧ください)
(2012年4月8日 イースター 川上記)
事務局スタッフインタビュー(5)
東北ヘルプは、多くの才能(タレント)に支えられています。
私たちは、それぞれ、才能を与えられています。しかし、それを活かす場面が少ないと、そう思うことが多いような気がします。
東北ヘルプは、広大な被災地にあります。その被災の中でも、もっとも厄介で複雑なものの一つが、放射能問題です。この問題に取り組むスタッフを、どうやって確保したらよいのか。私たちはとても不安でした。
しかし、私たちはその不安を今忘れてしまっています。それくらい、素晴らしいスタッフが与えられました。これこそ神様からの贈り物と、喜んでいます。それはまさに、皆様の祈りの賜物かもしれません。
今回もまた、神様の恵みを覚えて、職員インタビューをお届けします。
(2012年4月5日 川上直哉 記)
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1、この職場を選んだきっかけはなんですか。
2、現在の仕事、担当について教えてください。
3、仕事のやりがいはなんでしょう
4、目指す職員像、仕事について教えてください。
5、ホームページをご覧の方に、一言。
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木村さん(食品放射能計測所、計測員・栄養指導)
この仕事を選んだきっかけ
この仕事を知ったのは、わたしが通っている教会の掲示板でした。
放射能測定のお仕事ということで、興味深い仕事だと思いました。
わたし自身が計測などの計器を扱う作業が好きだということもあり、掲示されていた資料をいただいて、家に帰ってから調べてみたところ、東北ヘルプが教会系の団体であること、わたしの通っている教会ともつながりが深い団体であることが分かりました。
募集要項に書かれた活動の趣旨なども納得できるもので、これならと思い、求人に応募をさせていただきました。
わたしは栄養士として、放射性物質の内部被爆に非常に危機感を持っています。
植物や動物を食べることで、それらに含まれる放射性物質を摂取することになります。一つ一つでは微量の放射性物質を摂取することになりますが、それがいくつにも重なると、その影響は小さくないのではないでしょうか。食物連鎖的に不安を覚えます。
福島第一原子力発電所の事故の後、当初の放射性ヨウ素が検出された時点で対策をとることができれば最善でした。
ですが残念ながら、この時点でほとんどの人が状況を知らされておらず、また対処法も分からなかったと思います。わたしもそうでした。
しかし、これからでも食生活の改善を通して体内に蓄積される放射能対策を行っていくことは、決して遅くはなく、大切なことです。それらの中でわたしの経験がお役に立てればと思っています。
現在の仕事、担当について
これまでは栄養士として離乳食教室、乳幼児の歯の検診などに合わせて、栄養指導の講座や料理教室などの仕事を行っていました。
測定所の活動が始まりましたら計測作業員と、希望される方への食品や栄養に関する指導を行わせていただきます。
食品放射能計測所は本格稼動に向けて準備を進めている段階です。
現在は測定所の部屋のレイアウト、デザインを検討したり、食品・栄養に関する勉強を重ねています。
レイアウトは、他のスタッフや、心のケアについての職員研修できてくださった講師の先生のアドバイスを頂戴しながらすすめています。全体のデザインは、暖色系の温かみのある部屋にしようと話し合っています。備品などもそういったレイアウトやデザインに合わせて進めています。
測定中、不安を覚える方もおられると思います。そういった方のための面談室を設置する予定です。
測定所のデザインと平行して、測定器使用の練習、放射能についての勉強など、できる限りの準備を進めています。
仕事のやりがい
放射能測定所の仕事はチームでの仕事です。チームでの仕事は、自分の持っているもの・得意分野を生かすことができるので、感謝しています。
これから必要なことは、必要な情報を必要な人に提供することです。「大丈夫」ということや「ひどい・危ない」ということを言うために発信される情報は、正しい情報ということができません。そして現在、そのような情報がわたしたちの周りにあふれているように思います。これではどの情報を信頼すればいいのかすら分かりません。
パニックが発生したら困る、などといった発信者の都合ではなく、将来を含めて、人の健康を第一とした、正確で信頼できる情報を提供していきたいです。そのために改めて勉強しています。
食事の観点から考えますと、放射性物質を効率的に体外に排出させるために代謝を高めたり、傷ついた細胞を修復したりすることが必要になります。
そういったところから、「第七の栄養素」として注目されているファイトケミカルス(phytochemicals:植物の中に存在する自然の栄養素)に、わたしも注目しています。
ファイトケミカルスは、植物の香りや色の元になっている、これまではあまり注目されていない栄養素でした。ですが最近、このファイトケミカルスに高い抗酸化作用や抗がん作用があることが分かってきました。
抗酸化作用のある物質(カテキン:お茶などに含まれる。など)は、細胞が傷つかないようブロックしてくれる性質があります。
また抗がん作用のある物質(カロテノイド:ほうれん草、にんじんなど、色の濃い野菜に含まれる。など)は、放射能被害で訴えられている、さまざまな細胞のがん化に効果的であることを期待しています。
放射能が人体にどういった影響を与えるのか、特に内部被爆については、これまであまり研究が進んでいませんでした。ようやく最近、チェルノブイリなどのデータを元に書籍が出版されるようになりましたので、そちらを参考に準備しています。
目指す職員像、職場像について
現在はとてもよい雰囲気で仕事をすることができています。
クリスチャンですので、毎朝持っているミーティングの中で、祈り、賛美歌を歌って仕事を始めることができるのは、大変嬉しいことです。
他の職員の人たちは、個性的で、かつ思いやりがあってとても良い方々です。これから先も、このようにお仕事を進めていきたいです。
測定所の仕事では、測定・データ・来所者に丁寧に向き合っていきたいと思っています。対応の丁寧さ、居心地の良さ、安心感はそういったことで作られていきますので。そして不安や悩みについても、率直に、継続的に話し合える場であってほしいです。
そのためにも一つ一つの作業に一所懸命に行いたいです。
ホームページをご覧の方に一言
微力ですが、できることを精一杯やっていきます。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
佐藤さん(食品放射能計測所、ケア担当)
この職場を選んだきっかけはなんですか。
以前は福祉関係の仕事をしていました。震災後、被災者と会う機会が何度かあり、関わらせていただいていました。始めはお話を伺わせていただいたりしていたのですが、そのうちにわたし地震が震災で傷ついた被災者であることが分かってきました。そこから少しずつ支援の仕事に導かれていったように思います。
そういった中で東北ヘルプ事務局・食品放射能測定所の仕事と出会い、応募をさせていただきました。
放射能について、まだまだ知識が不足しているところもあるかもしれませんが、精一杯お仕事をさせていただきたいと思っています。
現在の仕事、担当について教えてください。
食品放射能測定所では、受付、ケアワーカー、計測のサポートの仕事を担当します。
ケアワーカーは特に心のケアが必要な方に寄り添い、その方をサポートする仕事で、大切なものだと思っています。計測所が本格稼動するまでは分からない部分もある仕事ですが、ふさわしい準備をして備えたいと思っています。
震災は多くの人の想像を超えた出来事でした。そしてその後に起こっている今の状況もそうなのではないでしょうか。わたしたちの仕事は、この想像を超えている事態に対応しなければなりません。
状況や問題、抱えているお悩みなどお一人お一人が個々のものをお持ちのことと思います。正直、不安もありますが、人が出会うことで何かが変わったり、ケアワーカーとして何をすべきか見えてくると感じています。
お話しを伺う中で、少しでもホッとして楽になったですとか、冷静に考えるきっかけになっていただければと思っています。変なたとえかもしれませんが、お帰りの途中で、ショックで道で転んでしまうことがないように。そういった驚きと戸惑いに寄り添えるようにと願っています。
最近、研修の一環として、南相馬で行われた「Cafe de Monk」に参加させていただきました。東北ヘルプはキリスト教系の団体ですが、仏教はじめ、他の宗教の方とも緊密に連携をとっているので、この「Cafe de Monk」の活動に大変興味があったのです。
おそばやケーキを用意してお客様をお待ちさせていただくと、多くの方が足を運んでくださいました。
お話を伺わせていただいた方は、お気持ちをいくら話しても、話しきれないのだとおっしゃっていました。ご自宅が立ち入り禁止区域にあるそうです。3月に3時間だけ戻ることができるので、何とかお墓参りをしたいとおっしゃられていました。東北の人間にとってお墓参りは大きなことですので、切実なことだと思いながらお話を伺いました。
人と寄り添って歩む人が求められています。そういった中でわたしの経験を生かすことができればと思っています。
仕事のやりがい
今はまだ心配のほうが大きいのですが(笑)。
やりがいについて具体的には、これからお一人お一人の利用者様にお会いする中で見えてくるのではと思っています。
職員研修を行ってくださった心のケアの先生とご相談させていただきながら、落ち着ける場所として測定所を作っていきたいです。花や絵を置いて、心安らぐ場所にしていきたいですね。
目指す職員像、仕事について教えてください。
測定所はチームとしての仕事です。1日の1/3も一緒にいることになりますので、心地よく働ければと思っています。その中でお互いの互いを共有できれば、より良い職場となるのではないでしょうか。お出でくださるお一人お一人を大切にしたいです
ホームページをご覧の方に、一言。
人の思いが集まると、喜びも集まります。応援をよろしくお願いいたします。
(2012年2月インタビュー)
2012年3月4日 東北ヘルプ事務局報告
東北ヘルプ事務局長 川上直哉
主の御名をたたえます。
以下、事務局の報告として、「設立の経緯・目的・組織」「仮設住宅支援」「外国人被災支援」「放射能関連の支援」「心のケア/魂への配慮」「課題」に項目を分けて、記します。報告の詳細は、ホームページ(touhokuhelp.com)の各項目に委ね、ここでは簡潔に概要をお知らせします。
1.「設立の経緯・目的・組織」
「東北ヘルプ」は、2011年3月18日に発足しました。目的は「募金と情報の収集・整理・送付」でした。そのための事務局を、川上(日本基督教団)と阿部(日本ナザレン教団)の牧師二名が担いました。多くのボランティア、とりわけ日本YWCAの強力な支援を得つつ、業務は拡大して行きました。そこに、海外から、本格的な事務局を設立するようにとの要請が来ました。私たちは祈りつつ、その要請を受諾しました。そして、事務局は財団法人となり、「東北ヘルプ」の各プロジェクトの実務遂行機関となりました。
更に「東北ヘルプ事務局」は「グランドハウス・プロジェクト」を担うこととなりました。このプロジェクトは、三つの段階で業務を遂行します。第一に、仮設住宅等への支援を通し、ニーズを把握します。第二に、ニーズを整理してプロジェクトを企画し、海外に資金申請をします。第三に、獲得した海外の資金によってプロジェクトを実行します。尚、「仮設住宅等への支援」は、東北ヘルプ以外の団体が行っている活動への支援を含むものとしました。それによって、広域の情報を得ることができました。
「東北ヘルプ事務局」は、12名のフルタイム職員を得ました。それぞれに簡潔な職務分掌が定められ、連携して業務にあたっています。この職員は、「東北ヘルプ」理事が責任を負っているプロジェクトを遂行します。「東北ヘルプ」理事は、「仙台キリスト教連合世話人会」に対して責任を負っており、「仙台キリスト教連合世話人会」は「全体会」に対して責任を負っている、という組織構成になっています。
2.「仮設住宅支援」
仮設住宅支援のために、「東北ヘルプ」理事の一人で民生委員の黒須践治氏が、新しいNGO「若林ヘルプ」を設立しました。この「若林ヘルプ」は、仙台市から仮設住宅の一棟を借り出し、次の三つの支援を行っています:①大学生ボランティアを組織しての「教育支援」、②お弁当業者と提携しての「廉価なお弁当」供食、③その他ボランティアコーディネート。
この「若林ヘルプ」の支援事業とは別に、各地の仮設住宅への支援者を援助することも進めています。その結果、現在までに1000軒以上の仮設住宅を支援することができました。
3.「外国人被災支援」
「東北ヘルプ」は、「外登法問題と取り組全国キリスト教連絡協議会」様と「NPO笑顔のお手伝い(宮城県住民による外国人人権問題救援組織)」様との共同事業として、「外国人被災支援プロジェクト」を、9月から開始しました。
被災地では、震災以前から「社会的弱者」であった人々が、最初に窮境に陥ります。多くの「外国人」は、とりわけ日本では、常に「社会的弱者」となっています。被災地において、その窮境は、報告されることもない程に小さくされ、本当に深刻なものとなっています。私たちは、9月からの3か月間の調査によって状況を確認し、12月からは海外からの資金を受けて、現在、「外国人被災者支援センター」を立ち上げる段階に至りました。
4.「放射能関連の被災支援」
「東北ヘルプ」には「姉妹教会プロジェクト」と「義捐金配分委員会」があります。共に、教会のネットワークを構築し、教会の業を支えるプロジェクトです。このプロジェクトの枠内において、放射能被害へのケアが開始されました。具体的には、①不安を抱えるすべての人が利用できる「食品放射能測定所」を、いわき市と仙台市に一か所ずつ開設すること、②疎開・移住・短期療養を願うすべての人々の思いと、そうした人々を受け入れたいと願っている施設・教団・団体を繋ぐこと、の二つの事業を展開しつつあります。
「食品放射能測定所」は、現在、3台の計測器を用いて、試験運用を進めています。既に、(1)測定値解析技術の確立、(2)「心のケア」の体制作り、(3)他の民間計測室との連携、等が、ほぼ完成しました。3月中には一般応募の受け付けを開始し、本格稼働となる予定です。
「疎開・移住・短期療養」への対応は、青森の教会ネットワークと福島の教会ネットワークとの共同作業となります。現在、専従者を一名を得て、最終調整段階に入っています。こちらは、4月に開始予定で進めています。
5.「心のケア/魂への配慮」
途方もなく大きな悲嘆と不安が、被災地を覆っています。痛めつけられた経済は、貧困世帯を追い詰めています。絶望が、静かに広がっているのです。
悲嘆や不安、あるいは絶望に曝された方々への最初のケアは、「心」あるいは「魂」の痛みに寄り添うことから始まります。そのために、東北ヘルプは、宮城県宗教法人連絡協議会や仙台仏教会と協働し、諸宗教の協働を行う団体「心の相談室」を立ち上げました。この団体は、医療者を室長(代表)とし、宗教学者を事務局長とし、川上が宗教者の立場で室長補佐(副代表)となって活動しています。
キリスト教という宗教に自信と誇りを抱きつつ、他の宗教を尊敬する。そのことによって、他の宗教からの尊敬を得、和解と協働を示すことで、被災者に希望と新しい世界の展望の糸口となる。そうした活動が展開しています。具体的には、現在、ラジオ番組(インターネットで聞くことができます。「心の相談室」と「仙台」の二つの言葉で、検索ください)と出張傾聴喫茶、そして電話相談を、牧師・僧侶・神主共同で行っています。
こうした協働を持続可能なものとし、医療者や行政機関と連携して宗教者が被災支援を行う枠組みを作るために、東北大学に寄附講座「実践宗教学」を設置することとなりました。一年間、過去のチャプレン養成課程を検証し、二年目には医療者・行政機関と協働することができる宗教者の養成課程を構築し、研修を開始します。仮設住宅や食品放射能測定所、あるいは在宅ホスピス臨床現場などで実習を行い、資格認定まで至ることで、牧師や僧侶が公共的な活動を行うことができる、そうした仕組み作りです。
6.課題
「東北ヘルプ」は、仙台にある支援団体です。そして同時に、「東北ヘルプ」は、国際的なネットワークによって支えられた支援団体である。この二つの事柄の交差する一点に、私たちの為し得ること・為すべきことがあるように思います。「国際的に考え、各地に足をつけて実行する」ということの実践が、求められています。
福音派・NCC・カトリック・ペンテコステ派といった広い一致の上に、私たちの業は存在しています。この一致は、一つにかかって、祈りの力に拠ります。「東北ヘルプ」が責任を負っている「仙台キリスト教連合」は、祈りにおいて一致するために組織された団体だからです。
ですから、私たちの課題は、皆様に祈っていただくことに尽きます。あらゆる誘惑から守られるために、祈りが必要です。祈っていただくために、情報を発信しなければなりません。情報の整理と発信こそ、今、私たちの課題です。イースターの機会を、そのための時として神様が与えてくださったものと、感謝しています。改めて、どうぞ、私たちのためにお祈りください。私たち被災地の教会が、神様の愛を、どこまでも広く証できますように。
皆様に、復活の主の祝福が溢れますように祈りつつ。
「安息日」ということ
インフルエンザでダウンする人が、周囲に増え始めました。
宗教協力の傾聴組織「心の相談室」で仲間になってくださったご僧侶は、10日間寝込んでいました。
私たち「東北ヘルプ」の職員一人も、今、一週間の療養中です。
私たちの事務局には、一つの原則があります。その基準とは、「健康と尊厳の確保を第一にすること」という原則です。それは、「聖書」に則ったものです。
この原則は、「聖書」の「十戒」に基づいています。「十戒」とは、聖書の民の憲法のようなものです。
「十戒」は、まず「前文」があります。「前文」は、「十戒」を制定する権威の源泉がどこにあるのかを宣言しています。権威の源泉は、「奴隷を解放する神」にあると、宣言されるのです。
この「前文」に基づいて、「十戒」が展開して行きます。「十戒」は、まず、この権威の源泉に対して、聖書の民はどういう態度を採るべきかを規定します。これはつまり、聖書の民の枠組みを規定するものです。それが「第一戒」から「第三戒」までの内容となります。
そして、その枠組みの中で、人はどう生きるべきかが語られるのです。それが、「第四戒」以降の内容です。
その「どう生きるべきか」の最初に、何が語られるか。それは、「安息日規定」と呼ばれるものです。
奴隷も、女性も、外国人も、家畜も、全て生きとし生けるものは、週の6日間を働き、週の一日は、休まなければならない。そう、「安息日規定」=「第四戒」は語ります。
休みたいときに休めること。休むべき時に休めること。
このことが確保されなない時、人は「奴隷」となります。「十戒」は、奴隷を解放する神の定めた憲法ですから、最優先事柄として、「安息日」を強調するのです。
「十戒」は、聖書の民の憲法です。
私たちはキリスト教団体です。
キリスト教は、聖書に基づきます。
ですから、私たちの事務局では、「健康と尊厳の確保」を最優先事項とすることを、原則としているのです。
職員が力いっぱい働けなければ、その職員の尊厳が毀損されます。
ですから、事務局長も同僚も、仲間の職員が輝いて働けるよう、力を尽くすのです。
しかし、休まなければならない時に休めなければ、その職員は健康を害するでしょう。
休むべき時に休める環境を作ることは、事務局長を含む理事の職掌です。
そして、同僚は、休む仲間が安心して休めるように、手分けをして協力する。
そうした原則を、今、冬の終わりの仙台で、実践しつつあります。
地震が全ての基盤を揺さぶり、津波があらゆるものを破壊し、放射能が深い省察を私たちに強いている、それが、被災地です。その被災地の各方面で、新しい共同体が作り出されようとしている。その営みの一つとして、この事務局も、ありたいと願っています。
以上、皆様のお祈りを引き続きお願いしつつ、今の事務局の様子をご紹介しました。
(2012年2月26日 川上直哉 記)
事務局スタッフインタビュー(4)
職員インタビューを続けます。
東北ヘルプ代表の吉田牧師が吐露した言葉を思い出します。
「被災でもしなければ、こんなすごい人たちと働くことはないだろうね・・・。」
私たちは、ハローワークに求人募集をかけたりして、人を探しました。業務の成否は、ほとんどすべて、「人」にかかっています。良い人を得られるかどうか。私たちは生まれたばかりの事業所で、誰も知らない「被災支援」という仕事をしているのです。募集に応募してくださる方がいるのかどうか。心配をしていました。
私たちの心配は、杞憂に終わりました。その道の「プロ」が、私たちと働いてくださることになったのです。
今回は、会計係の飯村さんと、管財係の戸枝さんのインタビューです。飯村さんは、経理のプロでした。戸枝さんは、プロのカメラマンでした。お二人とも、ご自分で事業所を運営しておられた、その道の「プロ」でした。
お二人を「同僚」としてご紹介できることを、とても有難く、また、誇りに思って感謝しています。
(2012年1月22日 川上記)
飯村さん(会計担当)
この仕事を選んだきっかけ
この仕事は昨年の11月、求職中にハローワークで見つけました。以前は会計事務所など、一般企業で経理を担当していました。この仕事の募集の要項を見てみると、会計事務所の勤務経験、資格など、全てわたしに合致するもので、これだ、と思い連絡をしました。
この不況のせいか、まず職を探すこと自体が難しく、面接となるとさらに難しいです。ですから、まずは面接の連絡をいただいたことが嬉しかったですし、採用されたときは本当に嬉しかったです。
現在の仕事、担当
現在は東北ヘルプ、東北ヘルプ事務局双方の会計の仕事をしています。
毎日、誤差なく、会計処理を行うことが主な仕事です。現在は週ごとや必要な際に監査の方にチェックをしていただいています。不備が無いように、またいつでも会計を参照できるようにしています。
現在の会計では部門管理に神経を使います。ケリグマ(教会支援)、コイノニア(教会間のネットワークづくり)、ディアコニア(民生支援)の3部門に、最近はディアコニアで放射能関係の会計が加わりました。実質4部門に分かれている状態です。これらの処理を混乱無く進めるために、整理しながら進めています。
仕事のやりがいは何ですか?
仕事が終わると、毎日スポーツジムに通うことにしています。スカッシュが趣味なんです。汗をかくとスッキリするんですね。大変なときほど体を動かしたくなります。
そんなわたしなので、朝に来て仕事が机の上に山に積まれているのを見ると燃えるんです(笑) 一日の仕事が終わって、溜まった仕事を片付けることができていると充実感があります。
それと先日、東北ヘルプから被災教会に第三次義捐金をお送りしました。その後、事務局にお電話をいただきました。義捐金をお送りした教会の方が、わざわざご連絡を下さったのです。義捐金の作業は大変なときもありましたが、ご連絡をいただき、報われた思いがしました。
そういったことが仕事のやりがいかと思います。
キリスト教系の団体ということでしたが、わたしの中に違和感はありません。毎朝、事務局は、お祈りをし、賛美歌を歌って、少しお話しを聞くことで仕事が始まります。そういった経験は新鮮ですし、心安らぐ時になっています。
印象的だった出来事があります。普通の職場ですと、仕事を終えて帰る際には「お疲れ様」などと声をかけることが多いです。ところが事務局の初出勤日に仕事を終えて退勤する際、事務局長が「ありがとうございました」と声をかけてくださったのです。その後も、お茶を準備すると「ありがとうございます」、ファックスを渡すと「ありがとうございます」。
「ありがとう」という言葉がこんなに飛び交う職場は初めてです。最近はわたし自身も家で「ありがとう」という言葉が増えたように思います。
目指す職員像、職場像について
会計は裏方の仕事で、後処理が主な業務になります。まずはこの活動が長く続くようにと願っています。
職場の方々は、良い意味で個性的な方が集まって、楽しく仕事しています。
この事務局は震災後に立ち上がり、これから作っていく事務局だと思っています。ですので事務局の立ち上げの時期に関わることができていることは、わたしにとって嬉しいことです。
いろいろな経験をしてきましたので、立ち上げに際しても、わたしの経験を生かすことができればと思っています。あるいは予想外のトラブルがあったとしても動じることなく、応えていきたいです。
ホームページを読まれている方に
いつも被災地と東北ヘルプの活動にご支援をくださり、本当にありがとうございます。
今後とも温かいご支援をよろしくお願いいたします。
戸枝さん(管財・ホームページ担当)
この仕事を選んだきっかけ
わたしは仙台生まれです。東京で写真の仕事をしていましたが、今回の震災で故郷が被災したことはショックでした。
またわたしの母は仙台の坂がきつい地域に住んでいます。母は足の具合があまり良くありませんでした。震災直後に物資や水が不足する中で、母は助けが必要な日々を過ごしました。そういった面においても家族のことも考えなければならない時期になったのではないかと感じるようになりました。
そんな折り、東北ヘルプ事務局が職員を募集しているという話を紹介していただき、それならと、仙台に戻り、東北ヘルプの仕事をする決心をいたしました。
現在の仕事、担当
現在は管財とホームページの仕事をしています。
管財の仕事は事務局始め、必要な備品の発注と管理です。この事務局の事務用品のデザインやこれから始まる食品放射能測定所のデザインと発注をしています。
ホームページの仕事は、現在は現地に赴いての取材を主なものとしています。特にもともと写真の仕事をしていましたので、ホームページの写真にはできるだけいい物を提供したいと思っています。
写真の基本がありますので、まずはそれを外さないように。そして印象的な写真となるように心がけています。
――写真のコツを一つ教えてください。
人物を撮るとき、顔を写真の真ん中に置いてしまいがちですが、写真上部に余計な空間ができてしまい、バランスが良くありません。
顔を写真画面全体の、上から1/3あたりに置くように心がけてみてください。きっとバランスのいい写真が取れますよ。
仕事のやりがい
仮設の方に喜んでもらうことは嬉しいです。取材では多くの方に出会うことができるので、それがやりがいになっています。
印象的だった仕事があります。
一つは、七郷中央公園仮設へ「どんぶく」の物資支援を行ったものです。七郷中央公園仮設に始めて伺った際に、この要望をお聞きしました。その際にお菓子や仮設の備品をお送りすることはできたのですが、しかし資力の問題で、お一人お一人に物資を提供するということは難しいということになりました。それからいくらか日が経ったとき、兵庫の長田支援センターさまから、この要望について支援を申し出ていただきました。大変嬉しかったです。
支援に際し、長田支援センターさまから一つ要望がつきました。「被災地の個人商店から注文を」というものです。管財としての腕の見せ所です。普通の個人商店では迅速に120着の商品を集めることはなかなか困難でしたが、仙台市内にある三浦ふとん店さまと連絡を取りながら進めていきました。そして無事に九州・久留米の「久留米かすり」のどんぶくを必要な120着の注文をすることができ、仮設の方にお渡しできました。
長田支援センターの皆さまのお気持ちを、七郷の皆さまにつなげることができたということで印象深い仕事になりました。
もう一つは、先日南三陸町の仮設を、「笑顔のお手伝い」の長野さんと一緒に廻らせていただきました。5箇所ほどを伺わせていただき、沖縄の方からいただいたお米と兵庫の方からいただいたマフラーをお渡ししました。もう少ししたら、ホームページでご紹介させていただきたいと思います。(「生活支援・自立支援」のページ『湯たんぽを相馬市柚木仮設住宅へ』の記事)
こういった嬉しい出会いが、仕事のやりがいとなっているように思います。
目指す職員像、職場像について
ホームページは、写真関係をさらに充実させて、質の高い写真を皆さまにお観せしたいと考えています。
管財としては、安くていいもの、オシャレなもの、清潔感のあるものをきちんと準備して、管理していきたいと思います。
現在、食品放射能測定所の部屋のデザインを話し合っていますが、暖色系で、明るく、落ち着ける部屋にしたいと話し合っています。カタログだけだとなかなかイメージが難しい場合もあるのですが、期日までにより良い形にしていきたいです。
ホームページを読まれている方に
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
文章は訂正が入ることもありますが(笑)、写真をご覧いただき、感想などいただけますと嬉しいです。
(2012年1月 インタビュアー=阿部頌栄)
事務局スタッフインタビュー(3)
職員インタビューを続けます。
東北ヘルプ事務局は、キリスト教の事務局です。それで、毎朝、賛美と祈りをもって仕事を始めます。神様が私たちの業を祝してくださるように、被災者が今日一日を活き活きと過ごせますように、支援者の業が守られますように、祈ります。
神さまは、私たちの祈りに応えてくださいました。今、事務局は、本当に素晴らしい雰囲気の中にあります。和やかな活気に溢れています。
今回は、そんなスタッフの要である長嶋さんと、いつも活気を与えてくださる沼里さんのインタビューです。
(2012年1月22日 川上記)
沼里さん(事務局渉外係)
この仕事を選んだきっかけ
東北ヘルプの仕事は上野のハローワークで見つけました。
もともとは環境省の仕事をしていました。外国、特に発展途上国担当として海外との窓口のような仕事です。JICAさんなどの各団体様と協力してプロジェクトを立ち上げ、海外のお客様をお招きして研修会を開いたり、その他の企画の準備と開催。また海外からお客様が来られたときには日本でのスケジュールアレンジなどに関わらせていただきました。
企画にはそれぞれ担当者が就くことになっているのですが、担当者のサポートの仕事も多かったです。とても楽しく、やりがいのある仕事でした。
余談で今は少し時期を過ぎてしまいましたが、外国からのお客様が一番喜ばれるのが秋の日本でした。紅葉は日本以外の国だとあまり観られないものなんです。ですから秋に来られるお客様は、どなたも日本の紅葉を楽しみにされていました。今年は春に震災があったので、春に来訪の予定だったところを秋に代えられた方が多く、予約が殺到していました。秋の旅行の日程調整を夏頃に行います。今年の夏は大変でした(笑)
わたしは教会に通っています。わたしたちの教会では、震災直後から復興支援に関わっています。わたしも東京で仕事をしながら、5月頃からボランティアに参加したり、被災地に向かう方のサポートをしていました。そんな折、わたしたちの教会で、仙台に新しく教会を建てることになりました。さまざま迷いましたが、わたしも仙台の教会に参加することに決め、仙台での仕事を探していたところ、見つけたのが東北ヘルプのお仕事です。
はじめ、東北ヘルプが教会の団体とは知りませんでした。復興支援に携わる仕事で、その上、教会が中心となっている活動ということで、この仕事と出会うことができ、大変うれしいです。
現在の仕事、担当
現在の仕事は渉外担当、そして庶務のお手伝いです。
例えば年末年始に、お便りを出す機会がありましたが、その際の住所録のデータ化をさせていただきました。外国人被災者支援の「希望のお米プロジェクト」のお米詰めは、他の職員やボランティアの方と協力して楽しい作業でした。そのほか、姉妹教会プロジェクトを中心に、理事の先生方のお仕事のサポート、メールの処理や翻訳、教会義捐金の事務処理、それにその時々の事務作業のサポートを行っています。
仕事のやりがいは、なんですか?
一番のやりがいは、やはり仕事が楽しいことです。決まった一つの作業ではなく、いろいろなことさせていただいていることがおもしろさになっていると感じています。
これまでさせていただいたボランティアでは、お話を伺わせていただいても「そうなんですね」と言って、そこで止まってしまっている状態にならざるを得ないことがあり、残念に思っていました。今は少し違います。一つ一つの仕事が、先の仕事や、他の協力してくださっている団体様と繋がっていっていると感じています。
ですからどの仕事もそれぞれに苦労がありますが、嫌なことはありません。大変にやりがいを感じています。
仕事の中で希望を持っていることは、これまでの活動でつながりを持つことができた方と、継続的な関係を作りたいということです。被支援者であった方から、積極的にこちらの活動や教会に関わりたいという方が出てきておられます。職員としてそういった方たちのフォローアップができればと願っています。
目指す職員像、職場像について
現在の職場は雰囲気が大変良いです。これからもベストを尽くし、お互いに成長できるような職場にしたいです。他の人のお役に立てれば幸いです。
ホームページを読まれている方に
ホームページを見ていただいてありがとうございます。
今やっていることだけでなく、必要なところに必要なものが提供できるようにがんばっていきたいです。
長嶋さん(事務主任)
この仕事を選んだきっかけ
わたしは東北・仙台が故郷でした。今回の震災が起こって、何らかのお手伝いをしたいと思いました。
わたしの前職はアジア学院という学校の職員でした。アジア学院は、アジアの発展途上地域を中心に農村のリーダーを養成することを目的に設立された学校です。
アジア学院で40年近く働き、その間はずっと栃木県・那須野で生活していました。そして数年前に退職させていただき、セカンドライフとして、那須で農業をしようと準備を進めていました。ところが震災に伴う原発事故の影響で那須での農業は困難な状況になってしまいました。描いていた予定を変えざるをえなくなってしまい、大変残念でした。
そんな中で、週末には被災地に救援物資を運ぶなどの支援活動をしているとき、東北ヘルプに出会いました。当時、東北ヘルプは事務主任の雇用が急務で、そのことについてご相談をいただいたのです。わたしにもいくらかツテがありましたので、何名かに連絡を取るなど協力をさせていただいたのですが、引越しなど、期待していた人との調整がうまくいかなかったり、ついにふさわしい人を見つけることができません。するとなんと、わたし自身に事務主任の話が回ってきてしまいました(笑)。
アジア学院では教務主任のような仕事をさせていただいたことがありますが、完璧な事務の専門家というわけではありません。ですが、それでもお手伝いできることがあればと思い、お話を受けさせていただいたという次第です。
現在の仕事、担当
事務主任として、全体を統括しなければなりません。ですから少しずついろいろな仕事に関わっています。そのように全体を統括する職の意味は大きいですし、必要だと感じています。その上で、とてもうれしいこととして、支援活動を支える仕事の中で、現場と関わることができています。前職・アジア学院の経験や、そのときに知り合うことができた方々との繋がりも大変役立っています。
その中で集中的に関わっているのは、「希望のお米プロジェクト」「外国人被災支援運営委員会」などの外国人被災者プロジェクトです。プロジェクトを運営するための準備と、プロジェクトに関わってくださる方々との連絡などを担当しています。
また緊急支援として、若林区の「ニッペリア仮設住宅」や、福島県・相馬市の「柚木仮設住宅」などにも関わっています。
最近うれしかったことで、南三陸町でフィリピン人の被災者の方の集まりに参加したことがあり、その際、カトリックのシスターの方も集会に参加されていました。すると、なんとそのシスターはアジア学院で一緒に働いたことのある方だったのです。昔の同僚と久しぶりにお会いできたこと。そして同じ思いをもって、支援活動で協力できることは大変感謝なことでした。
仕事のやりがいは、なんですか?
震災は未曾有の災害で、大変な時期に相対しているのだと感じています。こういった時期に教会の業に参加することができていています。クリスチャンとして、とても嬉しいことです。
教会とのつながりの中で、単なる物資供給や、その場限りの支援では終わらないところに、活動としてのやりがいを感じています。
他宗教の方と会うことができ、そういった出会いも良い刺激になっています。
目指す職員像、職場像について
わたしたちの活動はいろいろな人に支えられています。それを職員他、活動を共にする人たちが分かち合うこと、被災者の方にもそういった支えがあることを意識して接していきたいです。
ともすればわたしたちの活動は、お金を扱うこともあり、傲慢になりがちですが、謙虚でなければなりません。大きなお金の時には特にそうなのですが、特定の「○○○団体」という名前が前に出てしまい、わたしたちもそのように受け取り、扱ってしまいがちです。
しかし本当は、その大きなお金とは、多くの支援者の方が力を合わせ、祈りを形にしてくださったものです。「○○○団体」という名前で見えにくくなってしまいますが、もともとは個人の大切な思いがこめられているものなのです。
その思いを決して無駄にすることが無いように。事務においても、無駄を減らし、支援をしてくださった方のお心を形にする、しっかりと活動していく職場としていきたいです。
ホームページを読まれている方に
わたしたちは「支援者」ということになるのかもしれませんが、しかし同時に「被災者」でもあり、何より共に生きる仲間であると考えています。それがコミュニティー社会というものだと思うのです。被災者の方と共に歩んで生き、お互いに支えて行くことを願っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(2012年1月 インタビュアー・阿部頌栄)
仙台YWCA主催 山折哲雄先生講演会
「震災と日本人のこころ」
11月26日、「宮沢賢治のメッセージ『世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない』を改めて考える」をテーマにして、宗教学者の山折哲雄氏の講演会が開かれました。
会場は、東北学院大学押川記念ホールでした。350名ほどの参加がありました。
この講演会の主催は仙台YWCA様でした。私たち東北ヘルプは、この講演会の後援をさせていただくこととなりました。
10月に行われた「仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ)全体会」にて、松本嘉子仙台YWCA理事長が、直接、後援依頼のアピールをしてくださいました。全体会は、満場一致で、後援を承認したのでした。
山折先生は、細身の体に作務衣をまとい革靴という出で立ちで現れました。落ち着いた表情のなかに、宗教学者としての風格が感じられました。
「私は自由の身で老人フリーターであります」と和やかに切り出して、講演が始まりました。
4月に3日間、被災地を訪れた際の心境を、山折先生は次のように語られました。
「ここは神も仏もいない地獄。賽の河原だ、と率直に思いましたが、皮肉なことに空がよく晴れ渡り、あの恐ろしい海が、美しく穏やかに眼の前に広がり『あ~、この美しい自然によって傷ついた人々が癒されるんだな』と、そう思ったのです。」
日本人の宗教観、寺田寅彦や和辻哲郎の時代の自然観と今の原発問題、賀川豊彦と遠藤周作のキリスト教信仰、宮沢賢治の文学などが論じられました。また、今この震災による苦しみのなかで現状にどう向き合い、いかに受け止めていくか、問いかけがなされました。そして、人間の生と死、鎮魂の意味をお話しくださいました。
質疑応答も活発に行われ意義深い講演会となりました。
1月14日(土)には「仙台いのちの電話」主催による山折氏の講演会が再び仙台で行われます。
「仙台いのちの電話」様のホームページ(クリックで別タブが開きます)をご覧くださって、ご参加くださればと存じます。
(2012年1月6日 戸枝記)
事務局スタッフインタビュー(その2)
前回に引き続き、事務局のスタッフをご紹介いたします。
「スタッフ」は、英語でstaffと書きます。辞書を調べると、「杖・支えになるもの」を意味する古語「stæf」が、元の言葉であるそうです。
本当にそうだと思います。事務局は、スタッフの皆様に支えられている。スタッフの皆さんは、東北ヘルプの杖です。
今回も、職員の皆さんに、以下の質問をしました。
- この職場を選んだきっかけはなんですか。
- 現在の仕事、担当について教えてください。
- 仕事のやりがいはなんでしょう
- 目指す職員像、仕事について教えてください。
- ホームページを読まれている方に、一言。
第二回目の今回は、食品放射能計測室の杉本さんです。
現在の仕事、担当
現在の仕事は、食品放射能測定室の測定のメインスタッフをしています。12月16日に機会が納入され、現在26日の開所式と1月の試験運用のための下準備を他のスタッフと一緒に進めているところです。
具体的には、測定器とPCの設定、その間の接続などを調整しています。これから始める仕事ですから、まだ慣れないや勉強しなければならないところもあり、大変です。
今日、実際あった事例なのですが、予想している数値よりずいぶん大きな数値が測定器に表示されました。調べてみると、こちらが想定していていなかった単位で数値が表示されていたので、数値が大きくなったようです。機械が納入されたばかりで慣れてもいませんでしたし、準備期間だった今の時期だったのでちょっとした問題というだけで済ませることができましたが、実際にお客様が来られて運用が始まればそうはいきません。わずかなトラブルでも、続いてしまえば大きなトラブルにつながってしまうかも知れませんし、お客さまからも信頼していただけません。また予想外の数値が出ることで不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。トラブルの要因を無くしていくことが必要ですし、測定のこと、機械のこと、測定された数値の解析とその意味、対処法、測定方法の原理など、あらゆる質問に応えられるように準備をしています。そういったことの積み重ねが測定室の信頼やお客様から頂く信頼になり、お一人お一人の不安を取り除くことにつながると考えています。
この職場を選んだきっかけ
もともと大学では物理学の研究室にいたこともあり、こういった分野には強く興味を持っていました。ですが、中高生の数学教員免許を持っていることもあり、初めは全く別の仕事を探していました。
わたしはキリスト教会に通っているのですが、そんな折に教会の牧師からこの仕事を紹介していただきました。「杉本くん、こういう仕事興味があるんじゃないの」と。測定室の趣旨や活動に魅力を感じ、募集に応募させていただきました。
実際測定作業を進める中で、物理についてもう一度復習したり、新しく勉強することができ、やりがいを感じています。特に統計学を実地で活用できる機会ですので、自分の今後にとっても大変ありがたい機会だと感じています。
仕事のやりがいはなんですか?
やっていること全てに没頭しているという毎日です(笑)。間近の課題としては開所式が近づいていますので、部屋割りなどを進めなければならないですね。
1月の仮運用、2月の本格稼働までに、いろいろなシミュレーションを用意しなければなりません。
予想外の数値が出たとき、その数値をどう取り扱うのかという測定的な事。そしてそれ以上に測定に訪れたお客様にとってショックで不安な事だと思いますので、お客様の不安にどう応えることができるのか。その他のことでもいろいろな状況を想定して、事前に準備できるところをしていきたいと考えています。
たとえばこれも最近あったことですが、空の容器を計測したところ大変高い放射線値が出るということがありました。もしこのまま測定をすれば容器自体が持つ放射能によって正確な測定ができなくなってしまいます。原因を調べたところ、初めて使う容器ではこの問題が起きず、一度使った容器だと高い放射線値が検出されました。使用した容器は水道水で洗浄していたのですが、洗浄の仕方に問題があったようです。ですので、今後は洗浄の徹底と測定前に空の容器を測定して容器に放射性物質が残留していないかをチェックすることが必要であることがわかりました。
小さなことですが、こういった点をしっかり検証し対処を決め、実際の運用が始まる前にしっかりと準備をして、混乱のないようにしていきたいと思います。
目指す職員像、仕事について
単純な作業こそしっかりと行うこと。これが目指す仕事像です。信頼性の高いデータを提供することがわたしたち、測定室の使命ですし、それがお客様にも喜んでいただけることだと考えます。
ホームページを読まれている方に。
一流のスタッフではないかもしれませんが、しっかりと計測してデータを確定したいと考えております。被災された方々のご苦労はいかばかりかと存じますが、わたくしたちも微力ながら皆さまのお力になれればと願っております。共に頑張って行きましょう。
事務局スタッフインタビュー(その1)
皆様のおかげで、事務局は年を越すことができました。お祈りとお支えを、こころから感謝いたします。
心新たに、被災地に仕えて行きたいと思います。新年にあたり、私たち東北ヘルプ事務局のスタッフをご紹介して行きたいと思います。
職員の皆さんに、インタビューをいたしました。その質問内容は、以下の通りです。
- この職場を選んだきっかけはなんですか。
- 現在の仕事、担当について教えてください。
- 仕事のやりがいはなんでしょう。
- 目指す職員像、仕事について教えてください。
- ホームページを読まれている方に、一言。
第一回目の今回は、受付庶務係の鈴木さんです。
この職場を選んだきっかけは?
こちらの仕事は知り合いの方から紹介していただきました。一般的な事務のお仕事と伺っていたので、そのつもりでいましたが、事務局の立ち上げから関わることになりました。
決まっていないところや自分である程度判断をしながら作っていかなければならないところも多く、戸惑うところもありました。
今だから笑って話せることですが、特に関係者の方を把握するまでの間の電話の応対は大変でした。
現在は仕事にも慣れ、人員も拡充されましたので、安心して仕事ができています。
現在の仕事の担当について教えてください。
事務庶務の仕事を行っています。電話応対や、いつ来客の方が来られてもいいようにしておくこと、その他事務局全体、事務作業全体を整えることが主な業務です。
その他、個別の仕事として、少し前までは、事務局がハローワークに出していた求人関係の応対が大きな業務になりました。現在はそちらが少し落ち着き、クリスマス、年始の時期になりましたので、主に関係諸団体、支援者の皆様へのご挨拶状の手配を行っています。
仕事のやりがいは?
いろいろな方と出会うことができることです。出会いの中には、わたしが他の方と会うというだけではなく、人と人との間が繋がることをお手伝いさせていただくということも含まれます。互いに必要とされている方々が出会われた時には、皆さんが自然な、本当に良い笑顔をされるんです。その笑顔を見ること、必要とされるところが繋がった時の達成感がこの仕事の一番のやりがいだと感じています。
目指す職員像、仕事について
仕事をする中で言葉の大切さを感じています。事務局という一つのチームで仕事をこなしていますので、チームワークがとても大切です。小さな言葉の一つ、声掛けの一つで雰囲気が一変するからです。小さなことかもしれませんが、職員の間のコミュニケーションがスムーズにできるように、気を配っています。
そしてそんなチームワークで仕事を続けていくことが目指す職場像かもしれません。
ホームページを読まれている方に、一言。
いつもわたしたちのホームページをご覧くださり、ありがとうございます。観ていただけるだけで大変励みになります。それだけでなく、閲覧いただいた方からご連絡をいただくことがあり、励ましのお言葉やわからないことを教えていただくこともあり、ありがたく思っております。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
祈祷課題
東京のある教会の震災対策担当の方から、
祈祷課題を、求められました。
まとめてみますと、
今の私たちの状況が少し浮き彫りにできるような気がしました。
震災・津波と原発事故の大きさを考えると、
自分たちの力の小ささを思わざるを得ません。
それでも、怯むことができないのが現場です。
そこに立ちおおすためには、祈りの支援が不可欠なのです。
本年発生した東日本大震災で被災された教会・被災者を支援するため、
東北ヘルプは活動を始めました。
この一年は、みなさまさまのお支えと祈りなしに
乗り越えることができないものでした。
みなさまに心から感謝申し上げますとともに
どうぞ、祈祷課題を共有くださり、
2012年もご支援いただけますよう、
伏してお願いを申し上げ、
以下に祈祷課題をお知らせする次第です。
(2011年12月25日 川上直哉 記)
○○様
主のご降誕、心から感謝しつつ、喜びのご挨拶をいたします。
メールをありがとうございました。
日曜日より前に、返信を認めたかったのですが、
やはり、25日のクリスマス前、
思う通りにはいきませんでした。
被災地の祈祷課題は、
多くあるように思われますが、
いくつかのキーワードで括ることができるように思います。
第一のキーワードは、「分断」です。
たとえば宮城県でも、
仙台と石巻、そして南三陸・気仙沼とでは、
まったく状況が異なります。
明らかに、仙台は「復興」の足取りが速く、
北上するにつれて、その歩みは遅くなります。
しかし、先行しても、困難が減るわけではありません。
したがって、「復興」の先行している地域と後発の地域とで、
互いの苦しみを理解しあうことが困難になっています。
また、「おとうさん」たち、つまり、農業に従事する主に男性たちは、
行政との交渉において、先行します。
他方で、「おかあさん」たち、つまり、生活の先行きを模索する主に女性たちは、
行政からの情報が薄く、先行き不透明な中に佇んでいます。
もちろん、「おとうさんたち」が楽をしているわけではありません。
「おとうさん」も「おかあさん」も共に、必死で、先を見通そうとしています。
しかし、互いの間には分断が生まれています。
そして、「お金」がこの分断を深刻化しています。
もう、「震災以前」と同じ生活はできない。
これは、絶対命題です。
「新しいブドウ酒」は「新しい革袋」を必要としています。
しかし、保険金が入った方々は、その臨時収入によって、
「震災以前」の水準を(形だけでも)保とうとして必死です。
他方で、臨時収入のない人々は、
一刻も早く「新しい生活」を組み立てようと、
やはり、必死です。
両者の必死は、すれ違い、時に齟齬します。
ここには、深刻な分断があるのです。
そして、「フクシマ」の問題があります。
一つの集団、一つの家庭、一個の人格の中にすら、
両極端の情報が入り乱れ、分断が起こっています。
そして、憎しみと怨嗟の刃物が行政や東電の人々を切り分けていきます。
そして、その複雑な機微に疎い他の地域の人々との間に、
はっきりと、しかし見え難い溝が深まりつつあるのです。
おおよそ、以上のような分断があります。
これは、祈りによって和解の架け橋を必要としている被災地の現実です。
第二のキーワードは、「心のケア」です。
近親者を亡くした悲しみは、どんなに大きくとも、病ではありません。
内部被爆を案ずる不安は、どんなに大きくとも、病ではありません。
むしろ、
近親者を亡くしたのに平気でいるところには、ある種の病が予想されます。
この状況で被爆を案じない精神は、病んでいるように思います。
悲嘆や不安を医療によってケアすることは、
ある例外的な事例(それは確かに存在します)を除いて、
不適切なことのはずです。
欧州や北米では、そしてアジア各国においても、
こうした「不安」や「悲嘆」に対しては、
宗教が「心のケア」に当たっています。
そして、そのニーズは、現在の被災地において、はっきりと確認されます。
しかし、東北を含む日本において、その需要に対応する備えがありません。
それで、宗教者(キリスト教徒を含む)は、
一方で、安易な布教宣伝に乗り出し、
却って被災者を傷つけ、顰蹙を買い、
他方で、福音を語ることや証を立てることを躊躇い、
結果として、魂の世話(牧会)の責務を果たせずにいるように見えます。
今一度、この被災地で、伝道とは何か、宣教とは何か、
自分たちの福音とはなんであるかを、見つめなおす必要があるように思います。
これが、二つ目のキーワード「心のケア」で括る祈祷課題です。
三つ目のキーワードは、「小事に忠たらん」ということです。
被災地は、おおむね、「緊急支援」の段階を脱しつつあります。
もちろん、相馬や仙南地域など、支援の手の薄い地域があり、
そうした地域への物資支援などは、これからが本番になるでしょう。
しかし、多くの地域では、持続的な「自立」の支援が求められています。
そして、その用に足る支援者が、決して多くないという現実があります。
情熱と愛を以て被災地に飛び込む人々は、多くありました。
しかし、それを持続する体制を作り出せた人々は、一握りでした。
伝票を作成し、記録を残し、約束を守る。
そうした「小事」への忠実さが、求められています。
それがあれば、持続するのです。
しかし、その「小事」の困難であることを思います。
結果、多くの団体が活動を止め、
あるいは、官僚的な組織になって硬直化してしまっています。
いずれにしても、被災者にとっての悲劇です。
キリストにつかえる熱意を以て、「小事」に忠たらんことを願っています。
そのために必要なすべてが満たされますように。
どうぞ、私たちのためにも、お祈りください。
以上、三つのキーワードでまとめてみました。
お祈りくださること、それは、何よりもの支えとなります。
本当に心強く存じます。
それでは失礼します。
クリスマスの輝かしい季節、
皆様に、インマヌエルの祝福があふれますように。
感謝して
川上直哉
プロジェクトをつなぐこと・教会を繋ぐこと
先々週の木・金曜日は、忘れがたい二日間となりました。
まず、金曜日の午前中に、「食品放射能測定所」設置のための資金申請書のプレゼンテーションが、「NCCエキュメニカル震災対策室」様からの要請で、セットされていました。
そのための準備の会合として、共同で計測所を設置する「いわきCERSネット」の実務担当者の皆様と、前日の木曜日にお会いすることになっていました。
そして、その木曜日の夜、「名古屋キリスト教協議会」の皆様と、お会いすることになっていました。これは、「姉妹教会プロジェクト」と「放射能リトリート・プロジェクト」の両方のご協力を頂くための会合でした。
私は、仙台に来て10年経ちますが、震災前まで、ほとんど仙台を出たことがありませんでした。被災後、ようやく少しずつ、東北がいかに広いかを知らされています。今回、福島の広さを、私は初めて知らされました。
「名古屋に行く」のであれば、「郡山から新幹線」でよいはずだ。「郡山」は「いわき」のとなりだ。だから、「いわき」に行って、そこから高速道路で「郡山」に行き、そこから新幹線に乗れば、きっと、夜に名古屋に到着する――。
木曜日の朝早く、自宅でグーグルマップで経路を確認したところ、上記の計算は全く間違っていたことに気づきます。「いわき市」の周りをどう探しても、「郡山市」が見えない。
実際、当日は、相当無理なスケジュールで動くことになりました。
朝9時半に仙台を出立しました。目指すは、いわきアッセンブリー教会。到着予定時間は11時半でした。しかし、つかない。高速道路は片道通行のために渋滞気味。到着は、12時半となります。
それでも、30分の会議は、いわきアッセンブリー教会の奥田先生の祈りの励ましによって、意義あるものとなりました。そしてそこから、日本基督教団磐城教会へ、「いわきCEARSネット」代表の住吉先生のバイクで移動します。それが、冒頭の写真でした。
新幹線までの時間がないことを知った住吉先生が、バイクを回してくださったのです。私にとっては生涯初の「ハーレイ体験」。忘れがたい経験となりました。到着を待ちわびていた理事の三枝先生の、嬉しそうに写真を撮っておられたその笑顔! 到着した磐城教会の上竹先生も、びっくりというか、あきれるというか、複雑な、でもとても素敵な笑顔でお迎えくださいました。
ともかく、そこで、無事、理事の三枝先生と合流し、郡山へ向かいます。新幹線は2本遅れましたが、名古屋には無事にたどり着きました。夜の7時から、会議が始まりました。
会議は、9時まで、休みなく続きました。被災地の現状を、私がお話ししました。放射能の問題とその悩みを、三枝先生がお話しくださいました。
被災地の現状は、とにかく、「分断」の苦しみの中にあります。先行して「復興」してゆく場所と、いつまでも被災直後の様相を残す場所。
先行きの展望を苦しみながら組み立てる領域と、いつまでも何も先が見えない領域。放射能を深刻に恐れ避難する人、そのことに「風評被害」を読み取って苛立つ人。
教会は、キリスト者は、愛の使者となるべきだと、私は思います。
和解をもたらすことが、福音に支えられる私たちの立場だと、そう思います。
しかし、それは忍耐を要します。
忍耐のためには、祈りの支えが必要です。
「姉妹教会プロジェクト」とは、そうした支えを生み出す働きです。その必要性を、私たちは強く思いながら、話し合いを進めました。
また、特に福島の牧師は、苦悩の中にあります。教会員を愛し、教会を離れられないという思いを強くされている方が多い。そうした先生方に、祈りの支援が、どうしても必要です。
他方で、祈る側・被災地から遠く離れてお住いの教会の皆様にとって、情報が決定的に欠けています。誰かが、その欠けを埋めなければ、祈りたくても、祈れない。
私たち「東北ヘルプ」は、「教会の直接宣教」を支援するために、被災地を広く回り、状況調査を積み重ねて参りました。それは、ご寄付いただいた義捐金を神様の御心にかなう仕方でお届するための努力でした。
また「東北ヘルプ」は、「外国人被災支援」を行うために、被災地を丹念に回り、被災者の聞き取り調査を続けています。
そしてまた、仮設住宅などの方々への自立支援を通して、あるいは「心の相談室」の傾聴活動を通して、私たちは、被災者各位の必要と悩みとを知る機会を得てきました。それらは、それぞれ個別のプロジェクトの成果です。
しかし、その成果は、別のプロジェクトに繋がって行く・繋がって行かなければならない。
東北ヘルプには、「事務局」が置かれています。「東北ヘルプ事務局」の仕事とは、なんでしょうか。それは、一つ一つのプロジェクトを繋ぐことなのだと思います。それは、あるいは、一つ一つの教会・一つ一つの教会ネットワークを結び合わせる、大きな仕事なのかもしれません。
そうしたことを思いつつ、また今週も、事務局は業務を続けて参ります。皆様のお祈りを、心からお願いする次第です。
(2011年12月4日 川上直哉 記)
10月も終わります
東北ヘルプ事務局が、財団法人となってから、2か月が経とうとしています。多くの方々の祈りと支えを受け、あっという間に、2か月が過ぎました。その間に、多くのプロジェクトが企画され、幸いなことに、いくつかは動き出しています。
今日、宮城県庁記者クラブへ、以下の文章を、入れさせて頂きました。所謂「プレス・リリース」というものです。この間の成果を纏めてみたものですから、感謝しつつ、皆さまにもご連絡をいたします。
2011年10月27日
報道機関各位
「東北ヘルプ事務局」のお知らせ
仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ) 事務局長
財団法人東北ディアコニア(東北ヘルプ事務局) 理事長
川上直哉
電話:022-263-0520
Fax:022-263-0521
URL:http://touhokuhelp.com
拝啓
秋冷の候、貴社愈々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
仙台圏にある約100の教会で構成されています「仙台キリスト教連合」は、3月18日に「被災支援ネットワーク」を立ち上げました。この団体は任意団体であり、「東北ヘルプ」という通称の下、情報収集と募金活動を行ってきました。多くのご支援を頂き、今秋、この事務局が一般財団法人「東北ディアコニア(通称:東北ヘルプ事務局)」となり、任意団体「東北ヘルプ」の活動を永続化させるための仕組みが出来上がりました。また、日本キリスト教協議会との連携の中で、海外のNGO等の支援を得、いくつかの具体的な被災支援プロジェクトを立ち上げました。いよいよその活動が具体化してまいりましたので、皆様にお知らせしたく、ご連絡を申し上げた次第です。
敬具
プロジェクト一覧:
-
1.外国人被災者支援プロジェクト:
被災県下にお住まいの「外国人(外国にルーツを持つ方々)」の被災状況を調査し、必要な社会資源に繋ぎ、「被災支援ハンドブック」を作成し、「外国人被災者支援センター」を立ち上げる。また、11月8日に東北教区センターにて、全国の関係団体と共に、シンポジウムを開催し、情報交換と支援の可能性を検討する。(当然のこととして、支援対象はキリスト者に限らない。以下同じ。) - 2.食品放射能測定プロジェクト:
放射能汚染地域、とりわけ福島県中通り在住の方々の不安を緩和するために、仙台市といわき市に食品放射能測定機「LB2045」を5台設置する。計測所にはカウンセラーを配置し、「心のケア」にも努める。尚、計測された数値は第三者には公表しない。 - 3.ラジオ番組「Café de Monk」及び電話相談プロジェクト:
宮城県宗教法人連絡協議会が後援して設立した「心の相談室」を支援し、ラジオ番組を通して各界の文化人による「いのちのメッセージ」を被災者に届ける。また、日曜日・水曜日の15時~22時に宗教者(神道・仏教・キリスト教)が電話相談をフリーダイアルで受け付ける。ラジオは、この電話を告知するためにも活用される。 - 4.共同体の立上げ支援プロジェクト:
仮設住宅支援者や仮設住宅の住民組織の活動を支援し、共同体の立ち上げを促す。現在、5つの仮設住宅を支援し、更に複数の支援を検討している。
以上
事務局とホームページ リニューアルのお知らせ
皆様のご支援に心から感謝いたします。
3月11日の大震災から一週間後、3月18日に、私たち「東北ヘルプ」は誕生しました。
それは、「募金の受け皿」と「情報の集約整理」を担うべく始まったささやかな試みでした。
当初は、一カ月の働きのつもりでいました。
しかし、皆様のお励ましを受け、活動は一カ月ずつ、延長して行きました。
5月頃、私たちの働きの継続を求めるお声が、一つの運動となってまとまり始めます。
そして、熟議の結果、財団法人を作って活動を継続することとなりました。
先月以来その新しい体制の構築に取り掛かり、今漸く、一つの形を見始めています。
ここに、ホームページを刷新し、新しい私たちの体制について、ご報告をいたします。
下のボタンを押してください。ご報告が、表示されることと思います。
私たちの活動は、いよいよ、皆様のご加祷を必要としています。
今後、このホームページを用いまして、積極的に活動報告をいたします。
どうぞ、これからもお覚えくださいますよう、お願いいたします。
皆様に、心からの感謝をこめて。神様のお守りを感謝して。
東北ヘルプ事務局 川上直哉
会議という仕事
「東北ヘルプ事務局」の仕事は、事務と会議に尽きます。私たちは、直接被災者を支援することを、あまり、しません。ただ、支援の為の枠組みを考え、その為に連絡調整をし、話し合い、その記録を整理し、実行される際の連絡を行い、記録を取る。それが、私たちの仕事のほとんどとなります。
私たち「東北ヘルプ」のホームページがあります。http://touhokuhelp.comです。そこに、来客者名簿があります。ここに書かれている方々との打ち合わせの他に、事務局の外での会議があります。特に事務局長は、外部で多くの会議を行います。
例えば、手元の手帳を開いて、先週の会議を振り返ってみます。
月曜日、「東北ヘルプ事務局」のスタッフミーティングと理事会がありました。
火曜日、ホームページの管理についての会議を業者さんと行いました。
火曜日夜、東京で、日本キリスト教協議会の皆様と会合しました。
水曜日、スイスから「ミッション21」という団体の皆さまと話し合いを行いました。
木曜日午前、ドイツのオーケストラの方が事務局においでになり、会談しました。
その後、提携している支援団体「若林ヘルプ」の代表と打ち合わせを行いました。
木曜日午後、立正佼成会仙台教会長様と、宮城県宗教法人連絡協議会長様と、10月19日に行われる宗教法人研修会の打ち合わせを行いました。
木曜日夜、仙台キリスト教連合の全体会合を行いました。
金曜日午後、「サマリタンズ・パース」様と会議しました。その後、仙台市内の仮設住宅で、行政の職員様と支援団体の方とで、今後の相談をしました。
会議においては、しばしば、現在までの「東北ヘルプ」の働きを語り直すことになります。語り直すうちに、次第に、今現在直面している課題に気づかされます。
今直面している課題は何でしょうか。それはおそらく、「救援と宣教」という課題だと思います。「心への支援」の必要が指摘されています。欧米においては、「心への支援」に、二つあります。「心理学的な支援」と、「宗教的な支援」です。この後者、「宗教的な支援」の問題が、「救援と宣教」という課題において、考えさせられているのです。例えば、スイスからのお客様に「Seelsorge=魂への配慮」ということを語りました所、深く得心されたような反応を頂きました。別な言葉では、「スピリチュアル・ケア」とも言われます。こうした宗教的な支援は、「心への支援」として、潜在的に必要とされています。しかし、それは、なかなか提供することができない。私たち宗教家は、この問題に、今、取り組んでいるのだと思います。今、会議の中で、そのことに気づかされます。
過去を振り返ります。阪神大震災の時、性急に布教活動を行った宗教団体は、ほとんどすべて、被災者から拒絶されました。「救援」を「宣教」の為の道具とすることは、被災者の尊厳を深く傷つける危険性を帯びるからです。しかし、宗教活動を全くしないならば、宗教系の被災支援団体は、そのアイデンティティーを深く問われることになります。ここに、問題のむずかしさがあります。
今、この地震・津波・原発の被災下において、多くの団体が、「救援と宣教」という課題に向き合っています。多くの失敗があることでしょう。しかし、取り組みは始まっています。私たちは、幅広い団体との会議を積み重ね、よく見聞きし、忘れずにいようと思います。そうして、試行錯誤の中にある働きを支援し、共に考えて行きたいと思っています。
(2011年10月9日 川上直哉 記)
「東北ヘルプ」の役割(岩手訪問報告)
先週末、9月24日(土)、岩手県へ行って参 りました。その出張は、私たち「東北ヘルプ」の 役割をよく示す内容となりました。今回は、私た ちが行おうとしている支援の内容をお話しようと思 います。 岩手県内のエキュメニカルな教会ネットワーク のうち、二つの事務局を訪問することが、私たち の目的でした。二つの事務局とは、「3・11い わて教会ネットワーク」の事務局である「盛岡聖 書バプテスト教会」と、「岩手伝道協力会」の事務 局である「花巻キリスト伝道所」でした。
午前中に、盛岡に到着しました。近藤愛哉先生 と大塚史明先生と、お話をすることができまし た。
まずは、互いの状況を報告し合い、連携を模索 し、そして、共に祈りました。この出会いが、次の 働きの豊かな土壌となることを信じて、私たちは次の目的 地へと向かいました。 次の目的地は、花巻です。熊谷英三郎先生が面談くださいました。熊谷先生とは、既に 一度、被災支援の為の連携を相談していました。今回は、その時に話題になった大船渡の 仮設住宅への支援を具体的に相談することができました。
熊谷先生の御親戚がお住まいになっている大船渡の仮設住宅には、事情があって、ほと んどNGOが支援に入っていないとのことでした。そこで私たちは、熊谷先生のご紹介を 頂いて、大船渡へ向かいました。夕方でした。到着すると、日が暮れました。遅い時間で したのに、仮設住宅の町内会長さんが、私たちを歓迎してくださいました。
盛岡聖書バプテスト教会
仮設住宅は、まさに町内会が組織されようとしているところでした。町内会長に立候 補しされた方がおられ選出されたばかり で、熱意に溢れていました。行政と業者と NGOの間で、支援が欠落していました。 私たちにも、お役にたてることがありそう な状況でした。 早速、私たちのネットワークに連絡し、大 船渡の教会と連携を取り、10月27日に 再度お伺いしてご支援の内容を具体的に検 討することになりました。
盛岡聖書バプテスト教会にて今回の岩手出張は、被災支援における私たちの役割をよく示しているように思います。
私たちには、1:教会のネットワークを広げ、情報を収集し、2:事情があって埋もれ・隠れている支援の必要を見出し、3:再び教会のネットワークにつないで支援を展開 する、ということが、役割として求められているのだと思います。
また、支援ということは、常に次の三つを必要としていると思います。つまり、1:主 体となり熱意をもって他人の為に尽くそうとする人と、2:その人をサポートする集団 と、3:欠損し・必要とされ・求められている支援、の三つです。私たちは、「3」を見 出し、「2」の役割を担うべきなのだと思います。しかし、何より大切なのは、「1」の 役割を担う人です。私達は、この役割を担うことができません。「1」のためには、祈り が必要です。誰かがすべきであることを、自分がすると、引き受けてくださる方。自分が しなくてもよいかもしれないけれど、それを自分で引き受ける方。そうした方は、神様が 志を与えて下さった方です。そうした方が起こされることを、私たちは祈りたいと思いま す。大船渡の仮設住宅には、そうした方がおられました。神様が志をたてさせてくださっ たのだと、そう思いました。私たちは、そうした方々のお手伝いをすることで、神様に奉 仕する栄誉に与るのだと思います。
皆様のご支援を頂き、上記のような働きに与ることができること。そのことを、改めて 感謝しています。
(文責:川上直哉)
15名の韓国視察団・表敬訪問される
東北ヘルプの運営は年間4千万円のドネーション(献金)を受けて予算立てが行われております。その予算はNCC(日本キリスト教協議会)震災対策室が海外に募金の呼びかけをし集められたものです。世界中から反響がありましたが、その中でも大きく反応があったのがドイツと韓国でした。今回訪れた15名ほどの視察団は、韓国で募金を集めてくれている人たちの代表です。9月7日に東京のNCC事務所で9千万ウォン授与式があり川上事務局長が受け取りました。
こちらに訪問された8日は東松島、蒲生のシーサイドバイブルチャペル、仮設住宅と被災地を視察し、当事務所に寄られました。川上事務局長は仮設住宅からアテンドし事務所では改めてのご挨拶や質疑応答がなされました。「一度だけの支援でしたら事務所は要りませんでした。しかし、活動を通じて支援が長く続くことが分かり、適切な対応のために事務処理が必要なのもわかりました。この事務所は皆さんと日本の人々との友情のためにあります」と川上事務局長の挨拶。
視察団の方々からは、「震災支援に対してどういう方針ですか」と質問がありました。「私たちは日本キリスト教団東北教区と一つになって活動しております。援助は被災者の方に決して押し付けることをしません。信仰を押し付けない、ものやお金、すべてを絶対に押し付けない。ただ要請があればどんなものにも直ぐに対応出来るようにしておく。それが私たちの方針です。今、被災地から必要とされているのは希望です。それと仕事だと思っています」。さらに「外国人被災者の支援はどういう風に始まりましたか」、「それはJEDROのホ・ベッキさんを通じて外キ協(全国キリスト教連絡協議会)が要請してくださったからです。外国人移住者の被災状況の調査やメンタル面のケアなどを行っています」など熱心な質疑応答がありました。
わずか40分の滞在でしたが、内容の濃いものとなりました。
戸枝








































