諸宗教者と共に

東北ヘルプは、2011年4月、仙台仏教会様と宮城県宗教法人連絡協議会様との協力を頂き、「心の相談室」を立ち上げました。この団体は、同年5月、宗教者の「心のケア」を行う組織として体制を整え、電話相談・出張傾聴喫茶・ラジオ放送などを通じて、現在に至っています。

「心の相談室」を、後援団体として、宮城県宗教法人連絡協議会様と世界宗教者平和会議日本委員会様が、支えてくださっています。このつながりが、一つの実を結びました。

世界宗教者平和会議日本委員会様は、5月22・23日の二日間、仙台に来てくださって、宗教者にできる支援とはなんであるか、現地の宗教者に学ぼうという企画を立ててくださいました。そして、「心の相談室」で活動する多くの宗教者がそこに集い、いくつもの発言をしました。

自戒を込めて申し上げます。現場から離れると、いつも、どんな支援も、逸脱します。しかし、そのことは、現場から離れると、常にわからなくなります。だから、「事件は会議室で起こっているのではない!」といくら叫んでも、会議室はいつも、しらけてしまう。そういうことが起こります。

それならば、会議を現場で行えばいい。
―― それは、一つの夢です。多くの方々がそう考え、構想しますが、なかなか、そうなりません。

しかし今回、世界宗教者平和会議日本委員会のみなさまは、この夢を実現しようと考えてくださいました。そのことは、 私たちにとっては、本当に大きな励ましとなりました。そして、仙台で行われた会議には、日本全国から約25人の宗教者が集い、被災地域から約25人の宗教者が集いました。開会と閉会においては、宮城県宗教法人連絡協議会の責任者が挨拶を行いました。現場で、会議が行われる、という一つの試みが、確かに、ここ仙台で行われたのです。

そうした会議について、以下のような行き届いたまとめを頂きました。
「週刊RNS 第20号(通巻43号) 2012.05.24」より、抜粋して転載させていただきます。
(2012年6月3日 川上直哉 記)

1.復興に向け仙台で円卓会議 WCRP

世界宗教者平和会議(WCRP)
日本委員会(http://saas01.netcommons.net/wcrp/htdocs/ 杉谷義純理事長)は、5月22、23日の2日間にわたり、仙台市青葉区の国際センターで、「復興に向けた宗教者円卓会議」を開催した。

この会議は、「今後のWCRPによる取り組みの在り方合を考える」ため、震災タスクフォースが企画したもので、これまで震災救援にかかわってきたWCRP関係者のほか、宮城県宗教法人連絡協議会をはじめ、被災地の民間団体関係者ら60人が参加した。

22日は、「震災と精神的ケア」(発題者=岡部健医療社団法人爽秋会理事長・「心の相談室」室長)、「地域コミュニティの再構築」(発題者=鈴木岩弓東北大学文学部教授・「心の相談室」事務局長)、23日には、「社会的弱者と呼ばれる方々への支援」(発題者=江川和弥福島連携復興センター理事、多田一彦遠野まごころネット代表)の3つのセッションで討議が行われ、被災から1年余りの実体験に基づく発言が相次ぎ、緊迫した討議が繰り広げられた。

討論の中で「医師でも療法士でも対応できない被災者の心を受け止めることができるのは宗教者ではないか」との体験から、「臨床宗教士」(仮称)などの提案があり、WCRPの活動にとどまらず、宗教界一般の課題ともなる数々の提言があった。





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